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埋蔵文化財整理センター[ご案内マップ]

当センターでは、発掘調査で確認した竪穴建物跡などの図面や写真の整理、出土した土器などの接合・復元・実測などを行い、遺跡の報告書を作成しています。

〒311-4325 茨城県東茨城郡城里町北方1481
(茨城県埋蔵文化財センター いせきぴあ茨城 内)
TEL:029-289-2002
FAX:029-289-2008
Mail:seiri.center@maibun.ibk.ed.jp

188 628 008*14
「マップコード」および「MAPCODE」は(株)デンソーの登録商標です。
 
 

今月の逸品(2024.1):談義所遺跡出土の2点の注口土器


今回紹介する逸品は、坂東市談義所遺跡の竪穴住居跡から出土した縄文時代後期後葉(約3,500年前)の注口土器2点です。急須のような注ぎ口を持つことから、液体を注ぐために使われたと考えられます。文様の特徴の違いから、左側の土器は、関東地方の特徴をもつ安行1式と呼ばれるものです。右側の土器は、器面が丁寧に磨かれ、瘤のような文様を施した東北地方の特徴をもつ瘤付土器で、東北地方から運ばれてきた土器と考えられます。
関東地方の土器と東北地方から運ばれてきた土器が、同じ住居跡から出土したことは、縄文時代の地域間の交流を考える上で、とても示唆に富むものと言えるでしょう。
 
竪穴住居跡から出土した縄文土器(注口土器)
 

今月の逸品(2023.10):大堀遺跡出土の縄文土器


今回紹介する遺物は、つくばみらい市大堀遺跡の土坑から出土した縄文時代中期後葉(約4,500年前)の縄文土器(深鉢)です。
この縄文土器の本来の大きさは、高さ約25cmであったと考えられます。主に山梨県や長野県に分布している「曽利式土器」を真似て作られた土器で、「曽利系土器」と呼ばれています。こうした「曽利系土器」は関東地方の各地から出土しており、地域間交流などを明らかにしようとする研究が進んでいます。
大堀遺跡から出土した「曽利系土器」をよく観察すると、まず、縦方向の櫛歯のような筋が器面全体を覆っています。竹を縦割りにした道具(半截竹管)で描いたものです。その上に貼り付けられた粘土紐は真っ直ぐに垂下したり、大きく蛇行したりしています。粘土紐には、指先で摘まんで付けたくぼみのほか、製作者の爪痕が残っているところもあります。
このように、出土した縄文土器の観察を通じて、土器作りに夢中になり、また、本場の「曽利式土器」を真似ようと創意工夫する縄文人の姿が見えてきます。
 
 
 

今月の逸品(2023.10):下河原崎谷中台遺跡出土の縄文土器


今回、紹介する逸品は、つくば市下河原崎谷中台遺跡の炉穴から出土した縄文時代早期後葉(約8,000年前)の深鉢です。口径20.8㎝、高さ26.6㎝、底部5.8㎝の大きさで、ほぼ完形で出土しました。特徴は、外面と内面の両方を貝殻の背面で引いて文様をつける「貝殻じょうこんもん 」を施していることです。また、口縁部は、貝殻の背面を押しつけたり、竹を縦半分に割ったもの(はんさいちっかん)で刺突をしたりして文様をつけるなど、凝った作りをしています。この時期の縄文土器が完形で出土することは珍しいため、当品は貴重な資料となります。
 
下河原崎谷中台遺跡出土の炉穴から出土した縄文土器(深鉢)
 
出土した縄文土器に施された文様
 

今月の逸品(2023.9):向田遺跡出土の鉄鏃(雁股鏃 -かりまたぞく-)


今回、紹介する逸品は、稲敷郡阿見町向田遺跡の竪穴建物跡から出土した鉄鏃(雁股鏃)です。鉄鏃は矢の先端に付けた鉄製の矢じりで、形状によりいくつかの種類があります。雁股鏃とは、先が二股に分かれ、内側に刃を付けたもので、狩猟に用いられます。 向田遺跡出土の雁股鏃は、先端が欠損しており、現存する本体部分は、長さ8.7cm、幅3.1cmほどで、刃先片は長さ2.4cm、幅1.2cmです。刃部の外側が丸みを帯び、開きが深いのが特徴です。古墳時代後期の竪穴建物跡から出土しており、6世紀後半のものと考えられます。これまで本県では、7世紀前半の古墳の副葬品として出土することがありましたが、集落遺跡からの出土は大変珍しく、貴重な資料です。
 
向田遺跡の竪穴建物跡から出土した古墳時代の雁股鏃
 

今月の逸品(2023.8):島名本田遺跡出土の白天目茶碗


今回、紹介する逸品は、つくば市の島名本田遺跡の堀跡から出土した白天目茶碗です。この器は、口径11.8cm、器高7.7cmで、体部上位から口縁部にかけて屈折して外反する天目茶碗特有の形状をしています。桃山時代から江戸時代初期(約420年前)にかけて瀬戸や美濃で生産された天目茶碗は黒釉を施したものが一般的ですが、長石釉を施した白天目茶碗は天目の中でも評価が高く、名品とされています。
島名本田遺跡で出土した白天目茶碗は一点のみですが、黒釉を施した天目茶碗は破片を含めると、十数点を確認しています。桃山時代に流行した茶の湯は、貴族や大名などの教養や嗜みとして享受され、大名の家臣を介して、江戸時代初期には地方村落の有力者にまで伝播します。桃山文化が当地まで広がり、浸透していたことを知ることができます。
 
島名本田遺跡の堀跡から出土した白天目茶碗
 

今月の逸品(2023.8):中城古墳群出土の須恵器長頸瓶


今回、紹介する逸品は、行方市の中城古墳群の第3号墳から出土したフラスコの形をした長頸瓶です。
この瓶は、古墳時代後期(約1,400年前)に東海地方の湖西窯で焼かれたもので、口径8.8cm、器高24.2cmの大きさです。球形をした体部に、長い頸部を接合して形をつくっています。やや緑色をした釉は、薪の灰が溶けて付着し、自然に発色したものです。
長頸瓶は、古墳から出土することが多いため、被葬者への葬送儀礼に使ったものと考えられます。
 
中城古墳群出土の長頸瓶
 

今月の逸品(2023.6):島名境松遺跡出土の注口土器


今回、紹介する逸品は、つくば市の島名境松遺跡の土坑から出土した縄文時代中期末葉(約4,500年前)の注口土器です。
注口土器は、高さ20.8cm、最大径15.2cmの端正なヒョウタン形で、上位に短かく斜め上を向いた注ぎ口が付いており、注口や突起を起点に細い粘土紐で渦巻文を描いています。土器の表面には、赤く彩色されていた痕跡がうかがえます。
注口土器は、入念に製作され、美しい文様を施しており、容積も大きくないことから、日常の容器ではなく、儀礼に用いた特別な容器と考えられています。
特別の場での液体といえば、酒が連想されます。この注口土器にも酒が入れられ、儀礼に用いられたのかもしれません。
 
島名境松遺跡出土の注口土器
 

令和5年度の整理遺跡


出土した石器の接合作業
(下河原崎谷中台遺跡)
今年度、整理作業を行う遺跡は、下記の通りです。    
  • 向遺跡(茨城町)

  • 大谷川遺跡・天神山古墳群(鉾田市)

  • 中城遺跡・中城古墳群(行方市)

  • 向田遺跡(阿見町)

  • 下河原崎谷中台遺跡(つくば市)

  • 下河原崎高山遺跡(つくば市)

  • 島名本田遺跡(つくば市)

  • 島名境松遺跡(つくば市)

  • 大堀遺跡(つくばみらい市)

  • 長丁遺跡(坂東市)

  • 談義所遺跡(坂東市)

以上、7市町の13遺跡について、整理作業を開始しました。
 

 
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