上境作ノ内遺跡・上境作ノ内古墳群
かみざかいさくのうちいせき・かみざかいさくのうちこふんぐん
所在地 | 茨城県つくば市上境字作ノ内185-1 |
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立地 | つくば市の東部,桜川右岸の標高約26mの台地上 |
調査期間 | 2018年4月1日~12月31日 |
調査面積 | 5,522㎡ |
主な時代 | 旧石器時代縄文時代古墳時代 |
主な遺構 | 縄文土器(深鉢),埴輪(形象・円筒),石器(剥片) |
主な遺物 | 縄文土器(深鉢),埴輪(形象・円筒),石器(剥片) |
調査の成果
4基の古墳の調査もほぼ終了し,11月21日に空中写真撮影を行いました。前方後円墳の第8号墳の箱式石棺は未盗掘で,鉄鏃と刀子が出土しました。石棺の蓋石は5枚で北側のものが一番大きく長さ約90㎝,幅約50㎝,南側の物が一番小さく長さ約60㎝,幅30㎝でした。割石を側壁との間に挟み,安定を図っていました。床石は東側に側壁板石との間に隙間があり,細かな割石が敷き詰められていました。また,盗掘を受けた第9号墳の埋葬施設らはガラス小玉が,第1号墳の周溝からは形象埴輪の破片が,第10号墳の周溝から土師器の甕が出土しています。いずれの古墳も,墳形や埋葬施設の様子,出土遺物などから,6世紀後半から7世紀にかけての後期の古墳と考えられます。今回の調査で,当古墳群が10基以上の古墳からなる桜川下流域右岸地域における代表的な後期古墳であることが分かりました。
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第1号墳(前方後円墳)
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第8号墳(前方後円墳)
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第9号墳(前方後円墳)
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第10号墳(方墳)
調査の状況
9月から表土除去作業を行い,10月から遺構の調査を開始しました。その結果,平成12年度につくば市教育委員会が調査した前方後円墳の第1号墳に加え,調査範囲の南側から新たに3基の古墳を確認しました。4基の古墳は東側から第1号墳,第8号墳,第9号墳,第10号墳と1列に並んでいます。古墳の形状は第8号墳が全長約13mの前方後円墳,第9号墳が全長約23mの円墳もしくは形の崩れた前方後円墳,第10号墳が一辺約16mの方墳で,墳丘はいずれも削平されていました。現在はそれぞれの埋葬施設と周溝の調査を進めています。第9・10号墳の埋葬施設はすでに盗掘を受けており,第9号墳は板状の雲母片岩を用いた箱式石棺,第10号墳は横穴式石室の痕跡を確認しました。第8号墳も板状の雲母片岩を用いた箱式石棺と考えられますが,第9・10号墳の埋葬施設とは異なり,一部開口した蓋石が確認できたことから,詳細な記録を取りながら,盗掘の痕跡をはじめ,遺骸や副葬品などの有無を慎重に調べています。
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第1号墳(前方後円墳,南から)
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8号墳(前方後円墳,南から)
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第9号墳(円墳もしくは前方後円墳,南から)
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第10号墳(方墳,南から)