下河原崎高山古墳群
しもかわらざきたかやまこふんぐん
所在地 | 茨城県つくば市下河原崎字三夜下449-1番地ほか |
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立地 | つくば市の南西部,西谷田川左岸の標高25mの台地縁辺部 |
調査期間 | 2018年1月1日~3月31日 |
調査面積 | 1,591㎡ |
主な時代 | 縄文時代 |
主な遺構 | 縄文土器(深鉢),石器(ナイフ形石器・楔形石器・剥片・石核・石鏃) |
主な遺物 | 縄文土器(深鉢),石器(ナイフ形石器・楔形石器・剥片・石核・石鏃) |
調査の成果
今回の調査では,縄文時代早期後半の集落跡を確認しました。主な遺構は竪穴建物跡と炉穴(掘りくぼめた穴の一部に炉の痕跡が残る遺構)です。また,後世の遺構の覆土などから旧石器時代の石器が出土しました。縄文時代早期後半の竪穴建物跡は台地縁辺部を中心に点在し,炉穴は台地縁辺部から斜面部にかけて,その他の土坑群は調査区全域にわたって分布しています。遺物は沈線文や貝殻条痕文を特徴とする早期後半の縄文土器をはじめ,旧石器時代や縄文時代の石器が出土しました。今回の調査では古墳群築造以前の旧石器時代や縄文時代の土地利用の様子を知ることができました。
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調査区遠景(北から)
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調査区近景(東から)
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堅穴建物跡や炉穴から出土した土器
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旧石器・縄文時代の主な石器
調査の状況
確認した縄文時代早期の炉穴や土坑群は,台地縁辺部から斜面にかけて群在している状況が認められます。複雑に重なり合う土坑も多く,重複関係を記録しながら慎重に調査を進めています。また,地山のローム層と遺構の覆土の区別が困難な場合も多々あります。出土する縄文土器の大半が破片で,土器の内外面にハイガイなどの貝殻による条痕文が施されたものが目立ち,茅山下層式土器の特徴を有しています。約6,500~7,000年前の土器群として関東地方を中心に東海や近畿地方まで分布が見られます。当遺跡で確認した遺構の数や出土遺物の量などからは,小規模で短期間の居住活動の様子が窺えます。
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重なり合う土坑群
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複数の炉を有する竪穴建物跡
調査の状況
調査は1月から開始しました。今年度の調査は,昨年度に調査した第5号墳,第18号墳の南側で,調査区台地縁辺部から斜面にかけて,縄文時代早期の土坑や炉穴を確認しました。いくつもの土坑が重なり合っており,新旧関係を確認しながら掘り込み作業を進めています。また,炉穴は斜面部のほぼ同じ等高線上に構築されている状況が認められます。今後の調査によって,縄文時代早期の集落跡の様相を明らかにしていきます。
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斜面部での遺構調査
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真っ赤な炉をもつ炉穴