中道遺跡
なかみちいせき
所在地 | 茨城県久慈郡大子町大字南田気字中道218-1番地ほか |
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立地 | 大子町の中央部,久慈川右岸の標高約100mの河岸段丘上 |
調査期間 | 2017年9月1日~12月31日 |
調査面積 | 4,273㎡ |
主な時代 | 平安時代 |
主な遺構 | 土師器(坏・高台付椀・小皿・甕),須恵器(坏・甕),灰釉陶器(瓶),緑釉陶器(瓶),土製品(管状土錘),石製品(砥石),鉄製品(紡錘車) |
主な遺物 | 土師器(坏・高台付椀・小皿・甕),須恵器(坏・甕),灰釉陶器(瓶),緑釉陶器(瓶),土製品(管状土錘),石製品(砥石),鉄製品(紡錘車) |
調査の成果
調査の結果,平安時代の竪穴建物跡10棟,土坑16基,時期不明の土坑114基を確認しました。当遺跡は久慈川沿いの低位河岸段丘上に営まれた平安時代の集落跡です。注目されるのは,竪穴建物跡の竈の煙道部が細長いこと,竈袖部の構築に石材が用いられていること,10棟中9棟で東壁に竈が付設されていること,竈に加えて炉が併設されていることなどが挙げられます。出土した遺物は土師器の高台付椀などを中心に,灰釉陶器や緑釉陶器も少量ながら出土しています。また,第2号竪穴建物跡からは,ほぼ完全な形の鉄製紡錘車が出土しています。
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調査区全景(垂直方向)
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竈袖部に板石を利用した第1号竪穴建物跡
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長い煙道をもつ竈の第2号竪穴建物跡
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当時の姿を留めた鉄製紡錘車
調査の状況
これまでに,竪穴建物跡10棟,土坑114基などを確認しました。河岸段丘上の遺跡のため,細礫混じりの土で掘り込みに時間がかかります。平安時代の竪穴建物跡からは,土師器の高台付椀や小皿,須恵器の甕の破片などが出土しました。特に,第6号竪穴建物跡からは,高台付椀と小皿が重なった状態で出土し,何らかの意味を込められて置かれたものと考えられます。竪穴建物跡の竈では,煙道部が長いことや袖部に石材を用いていることなどの特徴が挙げられます。また,竈のほかに炉をもつ建物跡も見られます。
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小皿と重なった状態の高台付椀
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石材を用いた竈
調査の状況
一般国道118号袋田バイパス道路改築事業に伴う調査を9月から開始しました。当地域では,過去に番城内遺跡,橋元遺跡などを調査し,縄文時代から中世までの遺構や遺物を確認しています。現在,当遺跡では遺構確認作業と並行しながら遺構の調査をはじめたところです。今までに,平安時代の竪穴建物跡や土坑などを確認しました。今後の調査によって,平安時代の集落跡の様相を明らかにしていきます。
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平安時代の土坑の調査
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内面が黒色処理された土師器椀