向田遺跡
むかえだいせき
所在地 | 茨城県稲敷郡阿見町小池65-136番地ほか |
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立地 | 阿見町の南西部,乙戸川右岸の標高約23mの台地上 |
調査期間 | 2018年10月1日~2019年1月31日 |
調査面積 | 7,538㎡ |
主な時代 | 縄文時代古墳時代 |
主な遺構 | 縄文土器(深鉢),須恵器(甕),土師器(坏・埦・甕・小形甕・ミニチュア土器),土製品(勾玉・管玉・土玉)石器(鏃・砥石) |
主な遺物 | 縄文土器(深鉢),須恵器(甕),土師器(坏・埦・甕・小形甕・ミニチュア土器),土製品(勾玉・管玉・土玉)石器(鏃・砥石) |
調査の成果
古墳時代後期の竪穴建物跡6棟,縄文時代早期初頭の土坑1基と遺物包含層1箇所,縄文時代の陥し穴2基などの調査を終了しました。古墳時代後期の竪穴建物跡の床面からは,ミニチュア土器や土製の勾玉・管玉・土玉といった遺物が出土しました。これらが使われなくなった建物跡の床面に置き残されている状況から,建物を使用しなくなった際に儀礼が行われた可能性があります。縄文時代早期初頭の土坑は,長さ10.8m,幅4m,深さ0.8mと大きなもので,約10,000年前の人が大掛かりな作業を行った痕跡です。どのように利用したかが明確に分かる痕跡や遺物は確認できませんでした。付近では土器が捨てられた同時期の遺物包含層も確認しています。これらの整理作業を進めていきながら,この土地がどのように利用されてきたかを明らかにしていきたいと思います。
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調査区遠景(南東から)
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調査区全景
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大きく掘り込まれた縄文時代早期の土坑
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底に杭の痕が確認できる陥し穴
調査の状況
古墳時代の竪穴建物跡の調査がほぼ完了しました。第5・6号竪穴建物跡の床面や竈周辺から,土玉やミニチュア土器といった非日常的な遺物が出土しました。これらの遺物は,建物を使用しなくなった際に行った儀礼に使われたと考えられます。この2棟の建物跡は,1辺約7mと他の建物跡に比べ大きく,集落の中心的な建物であったと考えられます。現在は調査区南部にある遺物包含層の調査を進めており,縄文時代早期前葉(約10,000年前)の土器が出土しています。1月14日に行う現地説明会ではこれらの遺構や遺物を見ていただく予定です。
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建物跡の床面から出土したミニチュア土器(手前)
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1辺約7mの竪穴建物跡
調査の状況
調査区中央部にある竪穴建物跡の調査を行っています。第5号竪穴建物跡は、1辺が7m近くある方形の竪穴建物跡で、北側に竈が確認できます。竈付近からは、多数の土器片が出土しました。土器片が出土した層位から考えると、使わなくなった建物跡を埋め戻す際に投げ捨てたものと考えられます。また、建物跡の北西の隅では床面に置き残された土器も出土しています。出土した土器から、竪穴建物跡の時期は古墳時代後期(約1,500年前)と考えられます。
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第5号竪穴建物跡(北から)
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埋め戻した時に廃棄された土器