実穀神田遺跡
じっこくしんでんいせき
所在地 | 稲敷郡阿見町実穀字神田 |
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立地 | 阿見町南西部、乙戸川左岸の開析低地及び標高約24mの台地上 |
調査期間 | 2023年4月1日〜9月30日 |
調査面積 | 11,095㎡ |
主な時代 | 縄文時代古墳時代奈良時代平安時代江戸時代 |
主な遺構 | 縄文土器、土師器、須恵器、陶器、磁器、土製品、石器、鉄製品、銅製品、銭貨 |
主な遺物 | 縄文土器、土師器、須恵器、陶器、磁器、土製品、石器、鉄製品、銅製品、銭貨 |
調査の成果
date on: 2023.10
今年度の調査が終了しました。昨年度からの調査で、古墳時代後期から平安時代の竪穴建物跡や掘立柱建物跡などを確認しました。各時代の建物跡は、遺存状況が良く、特に壊されていることが多い竃の構造などを考える上で、貴重な調査となりました。
古墳時代の第38号竪穴建物跡では、トンネル状に延びる長い煙道部をもつ竃を確認しました。この構造をした煙道部が確認できた建物跡はこの1棟だけです。建物跡からは、土師器甕、須恵器𤭯(はそう)などが出土しました。時期は、出土した土器から7世紀前葉から中葉と推測されます。
奈良時代の竪穴建物跡のうち、最も良好な状態で竃が確認されたのは第14号竪穴建物跡です。この建 物跡は、上屋が焼失して、多数の炭化材が床面などから出土しました。この火災で竃の外表部分が直接火 を受けて焼き締まり、当時の竃の形状を良好にとどめたと考えられます。調査によって、竃の外表部は厚 さ約2cmのスサ入り粘土で塗り固めていることがわかりました。
平安時代の竪穴建物跡は、遺存状況が良好で、竃内から2個体の土師器甕のほか、土師器坏や皿が出土しました。火床面には、小型の土師器甕を逆さに据え置かれていました。この甕は、二次的に火を受けて脆くなっていたことから、竃にかけられた甕を支える支脚として使用されたと推測されます。
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1区調査区全景(鉛直:上が北)
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2区調査区全景(鉛直:上が北)
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第38号竪穴建物跡(東から)
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第38号竪穴建物跡の竃(東から)
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第14号竪穴建物跡(南から)
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第14号竪穴建物跡の竃(南から)
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第43号竪穴建物跡(西から)
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第43号竪穴建物跡の竃(西から)
調査の状況
date on: 2023.06
昨年に引き続き調査を行っています。現在、竪穴建物跡を中心に調査を進めています。古墳時代後期の第16号竪穴建物跡は、北壁中央に竃をもつ建物跡で、これに対時する南壁中央に外側へ張り出した貯蔵穴を確認しました。この貯蔵穴の中から、土師器坏などが転落した状態で出土しました。
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貯蔵穴周辺から遺物が出土した第16号竪穴建物跡(南から)
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張り出した貯蔵穴の中に転落した土師器(南東から)