発掘遺跡一覧

島名中代遺跡

しまななかだいいせき

所在地 茨城県つくば市島名字中台1223番地ほか
立地 つくば市の南西部,谷田川右岸の標高22~24mの台地上
調査期間 2015年4月1日~10月31日
調査面積 6,127㎡
主な時代 縄文時代古墳時代奈良時代平安時代室町時代
主な遺構 縄文土器,土師器,須恵器,磁器,土製品,石器,鉄製品
主な遺物 縄文土器,土師器,須恵器,磁器,土製品,石器,鉄製品

調査の成果

今年度の島名中代遺跡の調査が終了しました。この2か月間で,竪穴建物跡17棟,掘立柱建物跡9棟,井戸跡2基,溝跡9条,道路跡3条,土坑178基,ピット群2か所を調査しました。第45号竪穴建物跡の竈袖部からは,土師器の甕が逆位で出土し,袖部の補強材と考えられます。また,第48号竪穴建物跡は,古墳時代中期の建物跡で,床下の調査によって,壁際約1mを1段深く掘りくぼめている様子が確認できました。これまでの調査により,当遺跡は,縄文時代から江戸時代までの複合遺跡であることが分かりました。また,東部に隣接する島名熊の山遺跡,南部に隣接する島名本田遺跡と同時期の遺構が多く,これらと関連性の強い集落であった可能性があります。

  • 上空から見た島名中代遺跡(南から)

  • 上空から見た島名中代遺跡(真上から)

  • 土師器甕を埋めこんだ袖をもつ竈

  • 建物の構築方法を調べる床下の調査

調査の状況

島名中代遺跡の調査がほぼ終了しました。竪穴建物跡は,古墳時代から平安時代のもので,集落が継続的に営まれていたことが分かりました。第41号竪穴建物跡の床面からは,径2cmほどの白い玉石66個がまとまって出土しました。メノウの水磨礫で用途は不明です。他地域から持ち込まれたと推測されます。また,第46号竪穴建物跡は,長軸7.7m,短軸4.7mで,東西に長い平面形でした。出土した遺物から古墳時代後期と考えられ,2年前の調査区からも同様の竪穴建物跡が発見されています。当遺跡の特徴の1つですが,その性格は不明です。

  • 竪穴建物の床面に残された白い玉石(第41号竪穴建物跡)

  • 東西に長い古墳時代後期の第46号竪穴建物跡

調査の状況

昨年度に引き続き,4月から島名中代遺跡の調査を行なっています。この1か月で,竪穴建物跡6棟,掘立柱建物跡3棟,溝跡2条,道路跡1条,土坑115基,ピット群1か所の調査が終了しました。竪穴建物跡は,出土遺物などから平安時代中頃(9世紀中葉)のものと考えられます。また,第34号竪穴建物跡の竈中央部からは,土師器の甕が逆位の状態で出土しました。甕を観察したところ,二次的に火を受けているがわかりました。このことから甕は,竈使用時に,支脚の代りに使われていたと考えられます。今後の発掘調査によって,当遺跡の全容を明らかにしていきたいと思います。

  • 遺物がまばらに出土した平安時代の竪穴建物跡(第33号竪穴建物跡)

  • 竈から逆位の状態で出土した土師器の甕 (第34号竪穴建物跡)

つくば島名事務所