釈迦新田遺跡
しゃかしんでんいせき
所在地 | 茨城県猿島郡五霞町大字釈迦2411-1番地ほか |
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立地 | 五霞町の北部,利根川右岸の標高10mの微高地上 |
調査期間 | 2015年9月1日~10月31日 |
調査面積 | 1,351㎡ |
主な時代 | 縄文時代室町時代 |
主な遺構 | 縄文土器(深鉢),土師質土器(内耳鍋),陶器(天目茶碗・皿・甕・擂鉢),石器(石鏃・剥片),土製品(埴輪) |
主な遺物 | 縄文土器(深鉢),土師質土器(内耳鍋),陶器(天目茶碗・皿・甕・擂鉢),石器(石鏃・剥片),土製品(埴輪) |
調査の成果
調査の結果,当遺跡は縄文時代中期の集落跡と中世の墓域からなる複合遺跡と考えられます。今回の調査で,縄文時代中期の遺構は,土坑4基と遺物包含層1か所を確認しました。縄文時代の遺物が出土した土層は,その土質などから旧河川の洪水によって堆積した土と考えられます。中世の遺構は,掘立柱建物跡や柱穴列などの建物跡に関わる遺構をはじめ,火葬土坑や長方形の土坑などの墓制に関わる遺構などを確認しました。それらの遺構の時期は,出土遺物などから室町時代と考えられます。これまでの3回にわたる発掘調査で得られた資料は,当地域の先人の暮らしぶりを解明するための貴重なものとなります。次年度以降,報告書刊行に向けた整理作業を行う予定です。
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空から見た調査区
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調査区全景
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室町時代の溝跡
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遺物包含層から出土した石鏃
調査の状況
現在,遺構の掘り込み作業と写真撮影や作図などの記録作業を進めています。掘り込み作業では,湧水のために柄杓で水をくみ上げたり,水中ポンプで排水したりしながら作業を進めています。確認した土坑や溝跡からは,瀬戸・美濃系や常滑系の陶器などが出土していることから,中世の人々の生活の痕跡と考えられます。また,表土中からは縄文時代中期の縄文土器片も出土しています。前回の調査では縄文時代中期の竪穴建物跡2棟が確認され,その周辺から約3,000点の縄文土器片が出土しています。今回の調査で縄文時代の遺構も発見される可能性があります。
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水とたたかいながらの調査
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溝跡から出土した天目茶碗
調査の状況
9月から発掘調査が始まりました。平成21・22年度に引き続き,3回目の発掘調査となります。これまでの調査の結果,縄文時代中期には集落が営まれ,中世及び近世には土坑や溝などが構築され,人々の生活の痕跡が数多く残されていました。雨天で調査区内が水没するなど,水と戦いながら調査を行ってきました。現在,表土除去作業と遺構確認作業が終了し,多くの土坑や溝跡などを確認しました。今後は掘り込み作業,記録作業などを行います。この地域の先人のように,水と上手に付き合いながら調査を進めたいと思います。
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遺構確認作業で姿を現した溝跡
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利根川の堤防上から眺めた調査区