発掘遺跡一覧

金田西坪B遺跡

こんだにしつぼびーいせき

所在地 茨城県つくば市金田字二本松台1,626-1番地ほか
立地 つくば市の東部,桜川右岸の標高25mの台地平坦部
調査期間 2017年4月1日~6月30日
調査面積 4,247㎡
主な時代 縄文時代弥生時代古墳時代奈良時代平安時代
主な遺構 縄文土器(深鉢),弥生土器(壺),土師器(椀・坏・高坏・高台付坏・小皿・甕・甑・鉢),須恵器(坏・高台付坏・蓋・壺・甕・甑・捏鉢・円面硯),土製品(土器片錘・土玉・紡錘車・支脚),石器・石製品(鏃・磨石・凹石・石皿・支脚・臼玉・剣形模造品・有孔円板),金属製品(刀子・釘)
主な遺物 縄文土器(深鉢),弥生土器(壺),土師器(椀・坏・高坏・高台付坏・小皿・甕・甑・鉢),須恵器(坏・高台付坏・蓋・壺・甕・甑・捏鉢・円面硯),土製品(土器片錘・土玉・紡錘車・支脚),石器・石製品(鏃・磨石・凹石・石皿・支脚・臼玉・剣形模造品・有孔円板),金属製品(刀子・釘)

調査の成果

6月末に調査が終了しました。確認した遺構は,竪穴建物跡,掘立柱建物跡,柱穴列,陥し穴,袋状土坑を含む土坑などで,奈良時代の官衙関連遺構や,縄文時代中期,弥生時代後期,古墳時代,平安時代の集落跡を確認しました。特に,縄文・弥生時代では8mを超える大型竪穴建物跡や,古墳時代後期では5か所の鍛冶炉を有する工房跡は,注目されます。また,奈良時代の四面廂付建物跡や総柱建物跡などの掘立柱建物跡群の存在は,河内郡衙の構造や拡がりを考える上で重要な資料となります。

  • 調査区遠景(南から)

  • 調査区全景(上が北)

  • 縄文時代中期の有段式竪穴建物跡

  • 弥生時代後期の大型竪穴建物跡

  • 古墳時代後期の鍛冶工房跡

  • 奈良時代の掘立柱建物跡群

調査の状況

6月現在で,堅穴建物跡34棟,掘立柱建物跡18棟などを調査しています。今回は,奈良時代の第28号掘立柱建物跡と第11号堅穴建物跡を紹介します。第28号掘立柱建物跡は,南北棟の側柱建物で,桁行5間,梁行3間の身舎の四面に廂が付く構造です。廂を含めた規模は,南北約18m,東西約11mで,当遺跡をはじめ,隣接する東岡中原遺跡や金田西遺跡から見つかっている建物跡の中で最大です。県内でも大型の建物跡として注目されます。第11号堅穴建物跡は,一辺7mの大型の建物跡で,多数の土師器と須恵器が東側から投げ込まれた状況で出土しました。蓋が多く,他には坏や甕,大鉢やこね鉢,円面硯も出土しています。当地区は,古代河内郡の郡衙の成立や運営に中心的な役割を担った人々の生活空間であった可能性が考えられます。

  • 四面に廂の付いた第28号掘立柱建物跡

  • 多くの蓋が投げ込まれた第11号堅穴建物跡

調査の状況

今年度の調査範囲は,古代河内郡衙の正倉域として国の史跡に指定されている場所から,南に約350mの地点に相当します。昨年度からの継続で,堅穴建物跡22棟,掘立柱建物跡9棟をはじめ,多数の土坑や溝跡などの調査を進めています。特に,規則的に並ぶ総柱建物跡や同一地点で建て替えられた大型の側柱建物跡など,古代の掘立柱建物跡が注目されます。写真(左)は調査を終えた第23号掘立柱建物跡で,梁行3間,桁行4間の東西棟になります。その規模がよく分かるように,柱の建っていた場所に人物を配置しています。写真(右)は平安時代の第24号竪穴建物跡で,竈内から土師器の甕や須恵器の高台付坏が廃棄されたような状況で出土しています。その他,縄文時代の土坑,弥生時代や古墳時代の堅穴建物跡なども確認しています。

  • 大型の側柱建物跡(第23号掘立柱建物跡)

  • 土器が捨てられた竈(第24号竪穴建物跡)

つくば中根事務所

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