発掘遺跡一覧

館野遺跡

たてのいせき

所在地 茨城県小美玉市竹原字館野325番地ほか
立地 小美玉市の南西部,園部川左岸の標高約25mの台地縁辺部
調査期間 2018年4月1日~8月31日
調査面積 4,713㎡
主な時代 縄文時代古墳時代
主な遺構 縄文土器(深鉢),土師器(坩・壺・甕・高坏),須恵器(蓋),石器(石鏃・石匙・磨製石斧・敲石・凹石・スタンプ形石器),金属製品(鎌),鉄滓
主な遺物 縄文土器(深鉢),土師器(坩・壺・甕・高坏),須恵器(蓋),石器(石鏃・石匙・磨製石斧・敲石・凹石・スタンプ形石器),金属製品(鎌),鉄滓

調査の成果

調査区西側(約1,700㎡)の調査では,縄文時代中期の竪穴建物跡や袋状土坑のほか,古墳時代後期の竪穴建物跡などを確認しました。縄文時代中期の竪穴建物跡は6棟,そのうち2棟が有段式の竪穴建物で,特に第10号竪穴建物跡からは多量の阿玉台式土器や加曽利E式土器が出土しました。今回の調査によって,当遺跡では縄文時代前期以降に集落が営まれ,特に中期になると有段式の竪穴建物や袋状土坑などの特徴的な施設が構築されています。その後,再び集落が営まれるのは古墳時代前期以降で,最も集落が拡大したのは後期になります。大半の竪穴建物跡の覆土中から鉄滓が出土したことから,調査区域外に鉄生産や鍛冶関連の工房跡などの存在がうかがえます。

  • 調査区西側全景

  • 調査を終えた竪穴建物跡

  • 縄文時代中期の第10号竪穴建物跡

  • 古墳時代後期の第14号竪穴建物跡

調査の状況

6月後半から調査区西側の調査(約1,700㎡)を始め,現在は縄文時代と古墳時代の竪穴建物跡などを調査しています。今回の調査では,古墳時代後期(約1,400年前)の竪穴建物跡で,東壁中央部付近に竈を付設した例が2棟で確認され,土師器の高坏や甕などが出土しています。また,縄文時代中期(約4,500年前)の有段式の竪穴建物跡や袋状土坑も見つかり,縄文時代中期の集落跡が台地全体にひろがっていたことが分かりました。

  • 縄文時代中期の竪穴建物跡

  • 古墳時代後期の竪穴建物跡の竈

調査の状況

約半分の調査が終了し,5月下旬に空中写真撮影を行いました。これまでの調査では,縄文時代の竪穴建物跡1棟と袋状土坑9基,古墳時代の竪穴建物跡2棟などを確認しました。第38号土坑は,縄文時代中期の袋状土坑で,入り口が狭く,内部が広く掘り込まれ,断面が巾着袋のような形をしており,貯蔵穴と考えられています。縄文土器がその底面から倒立した状態で出土しました。現在は,調査区東端部に位置する縄文時代前期を中心とする遺物包含層の調査を進めています。今後は残りの調査区の表土除去作業と調査を進めていきます。

  • 調査区近景

  • 袋状土坑の底面に倒置された縄文土器

調査の状況

調査は4月下旬から始めましたが,排土置き場の都合により,調査区を2つに分けての調査となりました。前半の第1期分の調査範囲は約3,000㎡で,表土除去と遺構確認作業を終了し,現在は縄文時代と古墳時代の遺構の調査を進めています。縄文時代中期の袋状土坑と呼ばれる断面がフラスコ形をした土坑9基を確認し,縄文土器の深鉢などが出土しました。古墳時代前期の第2号竪穴建物跡からは,土師器がまとまって出土しました。第1期分の調査によって,縄文時代と古墳時代に集落が営まれていたことが判明しました。6月からは後半の第2期分の約1,700㎡の調査に着手します。

  • 袋状土坑の底面から出土した縄文土器

  • 竪穴建物の床面から出土した土師器

小美玉事務所

〒319-1113 茨城県小美玉市竹原568番地ほか