今月の逸品(2023.10):大堀遺跡出土の縄文土器
2023.10.1
発掘・整理遺跡
今回紹介する遺物は、つくばみらい市大堀遺跡の土坑から出土した縄文時代中期後葉(約4,500年前)の縄文土器(深鉢)です。
この縄文土器の本来の大きさは、高さ約25cmであったと考えられます。主に山梨県や長野県に分布している「曽利式土器」を真似て作られた土器で、「曽利系土器」と呼ばれています。こうした「曽利系土器」は関東地方の各地から出土しており、地域間交流などを明らかにしようとする研究が進んでいます。
大堀遺跡から出土した「曽利系土器」をよく観察すると、まず、縦方向の櫛歯のような筋が器面全体を覆っています。竹を縦割りにした道具(半截竹管)で描いたものです。その上に貼り付けられた粘土紐は真っ直ぐに垂下したり、大きく蛇行したりしています。粘土紐には、指先で摘まんで付けたくぼみのほか、製作者の爪痕が残っているところもあります。
このように、出土した縄文土器の観察を通じて、土器作りに夢中になり、また、本場の「曽利式土器」を真似ようと創意工夫する縄文人の姿が見えてきます。