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今月の逸品(2023.9):向田遺跡出土の鉄鏃(雁股鏃 -かりまたぞく-)

2023.9.1

発掘・整理遺跡

今回、紹介する逸品は、稲敷郡阿見町向田遺跡の竪穴建物跡から出土した鉄鏃(雁股鏃)です。鉄鏃は矢の先端に付けた鉄製の矢じりで、形状によりいくつかの種類があります。雁股鏃とは、先が二股に分かれ、内側に刃を付けたもので、狩猟に用いられます。 向田遺跡出土の雁股鏃は、先端が欠損しており、現存する本体部分は、長さ8.7cm、幅3.1cmほどで、刃先片は長さ2.4cm、幅1.2cmです。刃部の外側が丸みを帯び、開きが深いのが特徴です。古墳時代後期の竪穴建物跡から出土しており、6世紀後半のものと考えられます。これまで本県では、7世紀前半の古墳の副葬品として出土することがありましたが、集落遺跡からの出土は大変珍しく、貴重な資料です。

向田遺跡の竪穴建物跡から出土した古墳時代の雁股鏃